オタクのハートはもう限界だ

ねこ二匹と暮らすサッカー大好きおたく社会人の片思い※年下彼氏にクラスチェンジした!

若干の閲覧注意※フワーオ的な意味で

この前の日記の続きである。

 

告白されてからの初デートはまさかの夢と魔法の王国…手を繋ぐとかはなかったものの私は完全に夢心地である。


開園から閉園までガッツリ楽しんだ後、モノレールが運休したために真っ暗闇&雨と風に当たりながら50分かけてホテルまで歩いて部屋になだれ込み、寝落ちた翌朝から話は再開する。


なんとなくこの日の朝のことを忘れたくないから、若干の下ネタ的な話が入るので苦手な方はここで止めてほしい。
とにかく「あ、これがジュンタロウがする異性への扱いなのか」と驚きの連続であった。

 

 

 


ジュンタロウは朝に弱い。かなり弱い。


私自身が朝型かつ不眠症のため睡眠時間が極端に短いのだが、ジュンタロウは私の倍近く寝る。
一緒に寝たことこそなかったが、お互いの家で泊まりで遊ぶと翌朝奴は私が起きた二時間後にようやく起き上がって活動を始めて……という、これがルーティンとなっていた。


さらにだ、ジュンタロウは体力がない。


私自身は運動習慣があり、奴は車社会の中で生きているための運動不足…というこの差だ。
男女差的な意味でフィジカルは奴の方が上なのだが、体力がないというより体の動かし方が下手で持久力がないとかそういうイメージだ。


だからこの日、おそらく9時頃まで奴は起きないだろうなと勝手に思っていた。
慣れない土地だし、前日は普段の5倍近く歩かされているのである。ドンマイ過ぎる。


私が起きたのは朝6時前だったように思う。
7時半頃からスヌーズ開始となっているアラーム設定であったが、私の方が早かった。私の朝はいつもアラームより速い。


キングサイズのベッドで抱き合って寝ていたはずの私たちはお互いが片手距離間隔程度離れた位置におり、それぞれが自由に爆睡していた。


どうりで気持ちよく寝たわけだ…と謎の納得があった。

疲れもあってか夢も見なかったし、寝返りなども自由にやっていたのであろう。


季節的にも納得だが部屋は既に明るく、起きた瞬間から視界がはっきりしていたので「昨日寝落ちた瞬間から時間が止まっている」という部屋を目の当たりにした。


やはり、ちょっと期待していたのだ。


夢にまで見た彼氏との夢と魔法の王国デート、公式のホテルに一緒に泊まり、抱き合って寝て……

さすがにうまくいきすぎだな、と一瞬で頭を処理したように思う。


色っぽいことは何もなかったなあ…昨日楽しかったなあ…と、感慨深くスマホを見つつぼんやりしていたのだが、ここで一気に空気が変わった。


何の前触れもなくジュンタロウが急に起きたのだ。
私が起きてからほぼほぼ時差がなかったように思う。


「え?起きたの?」と思わず声を掛けたのだが、そのくらい異例中の異例だ。


ジュンタロウは何やらボソボソと話しながら、身体を起こすことなく手を伸ばして私をまたも抱き枕にし始めた。


まんざらでもないし、ジュンタロウは張りのある体をしていて気持ちがいいのでそのままにしておく。


しかし、ここからが昨日までと違った。


抱きしめるだけでなく、とにかくまさぐってくる。
すごいまさぐり方である。

 

…いや、前の日に自宅で私が狸寝入りしたときと同じ感じであっただろうか。
あのとき私はいろんなことをフルシカトしていたが、今回はバッチリ起きているしレスポンスを返した。

 

奴の指が顔を触りつつ唇をなぞり割り入り……と、もうこれは「私寝てますけど」が通じない。


その流れでキスもされた。しかも大人なやつである。

それを皮切りに、ジュンタロウの手が際どい方にどんどん進んでいくのがわかった。

 


このときについていろんなことを省くが、話したことで印象的なものはこのあたりだ。


「起きてる?」
「うん」


これと


「いやじゃない?」
「いやじゃない」


これと


「脱いでいい?邪魔過ぎる」
「明るいよ?大丈夫?」
「もうしょうがないよこうなっちゃったら」


これ。

 

なにがとはあえて書かないが、こういう会話…というかこういうことをジュンタロウとする日が来るということは夢にも思っていなかったので私はとにかく驚きまくっていた。

 

結局、朝食ビュッフェの締め切り一時間前までこんなかんじでゴロゴロしていたし、言ってしまえば本番まで進行していた。


途中「きれい」「かわいい」といった褒め言葉が一生分降ってきたし、BL漫画で攻めがするようなキスの嵐もあった。


書いていて「なんだこれ」と思う。
しかし本当に私の身に起きた。
未だに信じられないが、ジュンタロウとそういうことになった。


というここで書くのを一度やめるが、この朝を境に私とジュンタロウの距離感と会話内容が大幅にバグり始めたのでそれについても後で書いていこうと思う。

 

とっぴんぱらりのぷう

荒療治

ジュンタロウと夢と魔法の王国へ行った。


結果だけ先に書くと、一日のスケジュールは超スムーズに進行したものの最後にトラブルがあった結果それがスパイスとなり、やることをやった。

 

「一体なんだったんだ…」と、今の時点でなんだか信じられないような気持ちになる、そんな旅行となった。

 

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出発前日に私の家に集合し(私の家が新幹線停車駅の近くなので誰と行くにしてもこの流れはよくある)揃って向かったのだが、合流した際は「告白されてからまだ一度も会ってない」という状態だったのでお互いが照れまくってしまい何もできなかった。


目すら合わなかったような気がする。


夢の国に行こう、と決まったのは先々月のことで、そのときはまだ私たちは「友達」であった。
だから行く前に「私らいったい何なんだよ」と少しは思ったのだが、私自身があの国を愛しているので「行けるならなんでもいいや」という気で紛らわせていた。


そんな中で迎えた今回の旅行である。


私の家に宿泊する際これまでジュンタロウはベット&私はソファという寝方をしていたのだが「もうええやろ」と勢いだけで同じベッドに入った。


というか私自身「旅行前日くらいベッドで寝かせてくれよ…」と半分は本気で思っていたのだ。流れはすごくナチュラルだったと思う。


ここでもまだお互い「照れ」があったように思う。
肩を並べて寝るだけの時間がかなり長かった。


私自身はというと、この時点でもなお「本当に私を彼女にするつもりなんだろうか」という疑いが捨てきれていなかったように思う。

 

こいつは本気なのか
何かの間違いじゃないか
期待したら傷つくんじゃないか

 

そう本気で考えていたから、隣というポジショニングを得ることができてもなにもできなかった。

 

真っ暗闇の狭いシングルベッドで続くこの膠着状態を破ったのは、ジュンタロウだった。

 

「触られたら寝られないとかない?」
「俺の弟がそういうタイプでさ」


そう言われて、それはないなあとぼんやり答えたらそのまま抱き枕のような状態になった。


思わず硬直してしまい、何もできなかった。
頭の中は「無」であった。


私はもともと寝相だとか寝息だとかいびきだとかそういったアクションがないタイプで、人に「寝姿」を見せたくもないタイプだから私の「寝ているイメージ」は誰も持っていない。


それがネタにもなっていたため、この日もジュンタロウが「本当に動かないなあ(笑)」とつぶやいたのだが、このとき私は「どうしたらいいのかな」で頭がいっぱいであった。

 

そして私の中で何が起きたのか「動くとしたらこんなかんじかなあ」とかほざきつつ、寝返りをうって向かい合うような状態になった。


するとそこからはスムーズだったように思う。
ジュンタロウが背中に手を回し…………そのあとは爆睡した。


そうだよ、明日から夢と魔法の王国なんだから寝なよ。


そう思いつつ、私が動かなくなった後、奴が私の頭や腰、背中といったところを撫でまわしていたのを私は知っている。


寝落ちたことにしておいたが、バッチリ起きていた。

 

 

この動きにどういう意図があってのものだったのかというのは、後になって本人から聞くことができたのだが下心的なものはなかったように思う。

 

なんでも、私自身の身体的な物理的なサイズ(低身長)に対して私がしている努力とか仕事とか責任とか…そういったものが大きすぎるように感じて、守りたくてたまらないと思ってくれていたらしい。


これが行動に出た結果だそうだ。


もったいないお言葉である。


話を聞くにジュンタロウの前妻は、奴が持つ男らしさや正義感、父性といったものから逃げたくなったんだろうなと感じていたのだが「なるほど、そういう想いは確かに強そうだな」と感じた一晩であった。

 


翌日は普通に起きて、普通に夢と魔法の王国を楽しんで、普通に面白い一日を終えた。


私はあのテーマパークのガチ勢…とまではいかないがライト勢よりはアツい程度のファンなのでアテンドはお手のものなのである。

 

最後の最後に電車が運休というトラブルに見舞われたが、ここで私とジュンタロウは初めて「事故や勢いではなく意図的に」という流れで手を繋いで歩いた。

 

パークからホテルまで、歩いたのは50分ほどだったろうか。


丸一日あのテーマパークで遊びつくし、雨も降っていたし寒かったし、最後の最後に運休ってなんだそれと言いながらガッシリと手を繋いで歩いた。


実は、パーク内にいる間は手を繋げなかった。
肩に触るとか引っ張るとかはあったが、やはり私たちは決定打に欠け続けるのだ。


友達歴が圧倒的に長い交際相手だ。
雨が降り、電車も止まり、似たような境遇の観光客が大勢いる中のうちの一組でしかない私たちは照れもあり、茶化すようなことも話した。

 

この温度差のようなものを奴がどう思っていたのかはわからないが、私は心地よかった。
忘れられない散歩道だったように思う。

 

ホテルに帰ってからは流れるように風呂を入れ布団に入ったが、相変わらず抱き枕になっただけでお互いがいつ寝たのかを把握できないくらいの寝つき方で寝た。

 


この「友達歴が圧倒的に長すぎて自分たちの扱いが自分達でもわからない」という関係に進展がある事件は翌朝に起こるわけだが、疲れたのでひとまず日記はここで終わる。

そういうところ好き

ジュンタロウがよく言うセリフである。

 

私が社会人になったとき、世間は不景気真っ只中であった。

 

「お前の代わりはいくらでもいる」

「やる気がないなら帰れ」

「やる仕事があるだけマシ」

 

こんなかんじの言葉が飛び交う労働環境で、しかしこれは真実であったから自尊心をゴリゴリと失いながら日々を過ごしていた。

 

 

この失った自尊心はおそらくそう簡単に戻らないと今でも思う。

なにをしてもうだつが上がらなかったし、たまになにか上手くいけば「運が良かっただけ」と周りも私自身も口に出して言っていた。

 

 

だから「人の役に立つ」「世界の役に立つ」ということは夢のまた夢であった。

 

 

結婚の予定はなく、子を成さず、非正規雇用で、未来もわからない。

私が持つカードに「幸せ」とか「人から羨まれるもの」はまったくなくて、自分の価値など皆無であると信じて疑わなかった。

 

 

だからせめて…と思い必死になったのが「人の役に立つこと」であった。

 

 

どんなことでも「ありがとう」と言われたら私は嬉しくて必死だったと思う。

それがどれだけ小さな用事でも、なんなら上手く使われただけだったとしても、私に誰かがものを頼むということが本気で嬉しかったし、これを叶えていくことが使命だと思ったのだ。

 

これは人の役に立つこともそうだが、自分の価値をなんとしてでも維持しようと必死だったことも起因していると思う。

自分は世界にとって無価値で、いてもいなくても変わらないどころか、むしろ生産性のなさを踏まえると「いなくていい」かもしれない。

 

そんな不安と焦り、絶望感と常に戦っていた気がする。

 

 

人から面と向かって「お前は役立たずだ」と言われたことはない。

ただ、それに近い場面に遭遇することは誰にだってあるはずだ。

たまたま私はそれに人一倍ショックを受けるタイプだった。

 

 

というこんなかんじの精神構造をしているとどうなるかというと、自己否定と自己犠牲と奉仕精神でたっぷりの大人が出来上がるのである。

 

 

とにかく物事は「話してくれてありがとう」「関わってくれてありがとう」から始まり、そして「どんなことでも良くしていくための材料」になる。

 

 

そうしていたら口から出る言葉は自然とポジティブになったし、少なくとも人前にいる時間は明るい対応ができるようになったため、私はいわゆる「人気者」になったかもしれない。

 

「しれない」というのは、まだ取り戻せていない自信のせいだ。

疑い深さは直っていない。

 

だから私は一人になると急に暗くなるし、落ち込むし、人生に絶望する。

 

 

私の毎日は「ネクラ」と「ネアカ」の反復横跳びだ。すごく疲れる。

しかしこれは自分で選んだ生き方だから変える気はない。

 

 

というようなことを、ジュンタロウになんとなく伝えてきた。

ネアカに見えるけど違う、偽るように接していてごめん、そんなところから自己開示は始まっていたように思う。

 

 

気付けばジュンタロウは「そのアスリートみたいなとこ好きだ」「そういうところが本当に素敵な人だと思う」というようなことを言ってくれるようになっていた。

 

昨日、サッカーのU23を観ながら通話をしていたが切った後もなんだか「まだ話したい」の態度が残っていた気がする。

 

愛されてるなあ〜

どんだけ私のこと好きなのかなあ〜

 

そう考えるとニヤニヤが止まらなかった。

 

 

今の私が私でよかったと、人生において初めてそう思うタイミングだ。

これが伝わっていればいいなと思う。

 

 

 

 

しかし実は、私は前半戦の頃から眠かったから早く寝たかった。

というか正直言うと寝ぼけていた。

 

これを正直に言えるようになるのが、私が目指すべき次の目標かなとふわっと思った。

さらに甘くなった

いちおうジュンタロウと彼氏彼女の関係になったわけだが、「付き合ってほしい」と言われてからたった一晩で何が変わるっていうんだよと正直に言うと思っていた。

 

 

現段階でめちゃくちゃ変わっている。

 

 

そもそも私自身の恋愛遍歴だが、いちおう彼氏いない歴=年齢というわけではない程度に経験はある。

 

私自身は恋愛に後ろ向きなので告白は今のところ全て相手からなのだが、大体の場合「初めて会ったときから恋愛的な発展を踏まえている」という状態で出会い、そのまま恋愛関係に発展していくという流れを辿るため交際前であってもLINEはどこか落ち着きがあった。

 

最初からなんとなく「女性を相手にしている男性」が話し相手になっているなあと感じる程度に距離感があるし、気を遣われているというか女性扱いされている感があった。

 

つまり、「友達」の期間がない。

 

 

ジュンタロウと私の関係について、周りからいろいろ言われても「私たちはそういんじゃないよ」と二言目で否定していたのはこれが原因である。

 

 

私たちの空気感は常に「アホっぽい友達同士のノリ」だった。

 

 

奴が言うに、私たちは「いつもギャーギャー言ってる」「ゲラゲラ大笑いしてる」らしい。

ここに恋愛的な要素がどう入るっていうんだよ…と思っていたし、ジュンタロウにはその気がないんだろうなと信じて疑っていなかったからこそこの日記の場で「なんだよあいつ」と書き殴っていた。

 

 

これは勘違いであった。

ジュンタロウはなんというか、我慢していただけであった。

 

 

たった一晩を境に「会いたい」「話したい」「一緒に」というこのあたりの単語がものすごく多く登場するようになったし、なんとかこの場に繋ぎ止めようという必死さのようなものがなくなった気がする。

 

 

まず、ジュンタロウから「おやすみ」という挨拶が入るようになった。

これまで、私たちのLINEのやり取りには「おやすみ」がなかったのだ。

 

 

「おやすみ」を言ってしまうと、確かに話題がそこで終わる。

私自身、これは気にしていたし寂しいなと思っていたところだった。

 

だから、話題が終わらないように「じゃあね」を意味する挨拶の類は一切していなかった。毎日毎日寝落ちでやり取りが終わっていた。

 

 

答えを先送りにしたり、別れの挨拶をしなかったりで、とにかく「繋ぎ止めよう」とお互いが恐る恐るお互いを引き留めているような空気感があった。

 

 

それが昨日、初めてお互いが寝るのを見届けてやり取りを終えた。

 

 

なんだか感動してしまった。

そう、もう私たちは「連絡を取ることに理由がいらない」という関係なのだ。

 

 

ジュンタロウから「繋ぎ止めようとする必死さ」がなくなったし、「会話をするための言い訳」もなくなっているように見える。

 

私は「話しかける言い訳」を探さなくてよくなったし、連絡が来ることに対して「何か用事でもあるのか」と思わなくなった。

 

 

なるほど、カップルっていいなと思った。

 

 

これまでの歴代彼氏たちは「連絡事項があれば連絡する」というスタンスで、私自身もそれに合わせていたしそれにストレスがなかったからなんの疑問もなかったが、こういうのも悪くないと思う。

 

 

 

というかんじで浮かれているが、なんとなく疲れてしまい昨日は寝込んだし今日は食欲がない。

いろいろと心臓に悪い。

語呂合わせは「通報良いよ」

昨日は一日中外で仕事をして、そのあと5時間ほどサッカーを観ながらジュンタロウと通話をしていたのだがそれを切った後、私が寝落ちたあとのLINEで唐突に告白があった。

 

 

「好き」とかでなく「付き合いたいと言ったら迷惑ですか」みたいな言い方で、自己肯定感が戻りきっていないのが伝わってくるような、切ない表現だった。

 

 

あまりにおもむろだったから朝起きてからも上手く反応ができず、なにより告白であることが最初は読み取れなかったから「え?ん?」と洗濯物を干しながら寝ぼけつつ考えていたが、ジワジワと多幸感のようなものがきた。

 

 

オタクのハートに限界が来まくっているのは違いないが、この問題にとりあえずの決着がついた。

 

 

今日はずっと外に出かけていたのだが、本当にこれはそういう意味だよね?勘違いじゃないよね?と疑いつつ外を彷徨いていて、そんな中でジュンタロウからの連絡頻度や熱量が高くなっているのが分かったし「彼女」という単語が飛び出してきたから「これは確定だ…」と時差で実感がきている。

 

 

ということで、疲れもありなんとなくボーッとするだけの一日になってしまった。

 

 

縁結びのお参りをしていた神社にお礼参りに行き、

相談していた人に報告をして、

唯一情報を共有していた妹に報告をして、

 

というこの3つだけこなした。

 

 

ジュンタロウとは今日もいろいろとLINEをしたり電話をしたりとやったいたのだが、いつも通りのノリでいつも通りの温度感だったように思う。

 

だから少し「あれ?」と思い、かまをかけてみた。

 

 

ミ「今日は何日?2024年4月14日だから、語呂合わせすると“通報良いよ”だわ」

ジュ「ワロタ」

ミ「私たちの記念日、忘れないでよ」

ジュ「オッケーです」

 

 

これは正式なもののようだ。

明日からまた頑張って生きようと思う。

ブスと言われたあの日から

私は自分のルックスが嫌いだ。

 

 

 

丸顔、低身長、胸だけは大きくてほかは小さく、撫で肩、痩せるときは下半身から……とにかくバランスが悪い。

 

 

写真映りに関しても、当たり角度というものがまったくない。

 

確かに「いや…そんなの遥か昔の中学生の悪口でしょ」と言われたらそれまでなのだが、本気でブスに見えるのだからしょうがない。

 

 

過去コスプレにハマっていたが、あれは良かった。

 

 

私が私でなくなる時間というのは快感でしかなかったし、顔というより撮影技術や構図のつくり方、衣装作りや武器の造形、名刺や写真をはじめとする平面デザイン的なものといったもので声を掛けてくれる人が多かったのだ。

 

顔だって、普段のメイクの五倍は濃かったしキャラに寄せたから原型はなかった。

 

胸はサラシで潰し、ぺったんことまではいかないがAカップ程度にまで小さくしていた。

 

この影響のおかげか、今の仕事は写真に写ったり動画の被写体になったりする機会が多いもののレンズという存在に対してはあまり抵抗がない。

 

お金をいただいている時間に発生する「作業」だし、そこに私の意思はほとんどないというのもあってまったく問題ない。

 

 

問題はジュンタロウだ。

 

 

おそらく今年の冬あたり、例の「人ごみで服の裾を掴んだが手を繋ぐにはいたらなかった」という魚市場に行った頃だったと思うが、ジュンタロウが私を写真に収めるようになった。

 

 

好物の鰻を食べているとか、ぼーっと立っているとか、雪に感動しているとかそんな場面だ。

 

 

私は家族全員が陽キャという環境出身なので(心が陰キャなのでたまに疲れているが)何かあれば基本的に顔芸付きだしリアクションが大きい。

 

素敵なものを目にしたら、その感動も口にする。(仕事柄、感想をアウトプットする力は鍛えてもらったからそこは本当に助かっている)

 

ジュンタロウの前妻は無感動なタイプだったらしいから、いちいちオーバーリアクションな私が面白いのだろう。

 

 

私はというと「男って、気に入った相手の写真撮ったりするよね」とまんざらではないのだが、撮影された写真を共有され目にすると「うっ!!!」と胸を抑えたくなる。

 

 

ブスだ…ブスすぎる……

 

 

なんでこんなにも顔が嫌いなんだろう。

厚い上半身も嫌いだ。

 

 

ジュンタロウのことはほぼ一目ぼれに近かったというのに、ゲンキンな奴だなと思う。

 

私は奴のルックスが好きなので、再会する前も後も写真を撮りまくっている。

奴が結婚してからも写真は消せなかった。

 

やっと、私のことも写真に撮ってくれるようになったと内心嬉しくてしょうがないのに自分自身が自分を好きになれないとは困ったものだと思う。

 

顔を見つめられたり手を繋がれたり、「そういうところが好きだ」と言ってもらったり、その都度で私はちゃんと「ありがとう」とか「嬉しい」とか

そういうことを言ったり伝えたりできている気がしないのだがここが厄介なんだろうなと思う。

 

 

以前付き合っていた別の彼氏は「僕は〇〇フェチだから、ドストライクなんだよ」と伝えてきたのだが、この自信のなさが伝わっていたのかもしれないと感じる。

 

〇〇に入るものは私のコンプレックスだったので、彼なりのフォローだったのだろう。

 

 

好意を受け止められない、肯定できないとはなかなか辛いものだとここにきて初めて知った。

自信を身に着けて、何を言われても「ありがとう!嬉しい!」と笑顔で返せる覚悟や度胸や決断力を向上させねばと、最近会って話した帰り道はいつも思う。

 

 

そんなことをしていたら、ジーンズのサイズがかなり変わった。

インチで言うと5段階、SMLで言うと2段階下がっている。

 

ダイエットをしようという気はまったくなかった。完全に恋煩いである。

 

ブスと言われた呪縛は恋をしている間、美容効果へのバフになるらしい。

そういう意味ではあってよかったかもしれない。

 

 

ちなみに私をブス呼ばわりしてきた男は中学時代の同級生だが、学年で一番「きもい」と言われ続けていた生徒だったように思う。

自分より弱い人間や言いやすい人間にあたっていたのだろう。

 

私は生まれてから今に至るまで地元を離れていない。

もし向こうも同じなら、もしかしたら再会することもあるかもしれない。

 

今に見ていろ、というのを胸に今日も頑張りたいと思う。

10年ぶりの再会を果たした日の話

いい加減、忘れてしまいそうになっているのであの日のことを書きたいと思う。

 

 

10年ぶりに対面で会い、翌日まで遊びまくった日のことだ。

 

 

ジュンタロウは今でこそ「一秒でも長く一緒にいるため」とか言って重課金の特急を使い会いに来るが、一番最初は「コスパ重視」と高速バスであった。

 

 

ただでさえ離婚騒ぎで金がない男だし「まあそうだろうよ」と思っていたのだが、あれから半年でものすごい変化があったなあと改めて思う。

 

 

というか脈なし時代から、私に対してはあまりコストをかけない男だったし「二人きりにならない」という点をかなり重視していたように思う。

 

だから「遊びに来ることは決まったけど一体どうしたもんかな」と迷いはしたが、そこは四十路の余裕もあって準備は淡々としていたし

①8月下旬に「俺のこと覚えてますか」の連絡

②9月下旬にサッカーの試合があるが同行者がいないから来る?と聞いたら二つ返事で来ることに

③2の当日までひたすら雑談(奴からの連絡はほぼ敬語)

というこの流れの間に恋愛的な要素は一切なかった。

 

あまりに自分がドライだったから私自身も「私、ほんとにこいつに惚れてたんだっけ?」と謎に冷めていた。

 

 

当日、そんなザックリとしたテンションで高速バスの停留所に奴を迎えに行った。

 

幸運にも天気は快晴の見事な秋晴れ、幸先がいい。

 

 

このときの緊張は恋愛のドキドキでは断じてなく

「どんなテンションで会えばいいんだろ?」

という、久々の友人に会うときのそれに近かったと思う。

 

 

今〇〇っていうインター通った

あ、〇〇が見える

この辺変わったな~

 

 

といった実況が奴から続々届きながらジュンタロウが物理的に近づいてくるのを感じつつ、結局私が停留所を間違えたため既にバスを降りている奴のもとに向かう形で再会した。

 

 

 

ミソノ:変わってないねー!!!!(大笑い)

ジュンタロウ:はは

 

 

 

こんな感じであったと思う。

 

 

奴が立っている姿が遠くに見えたとき、最後に見た20代の面影を持つ彼がそのまま立っていたように感じた。

聞いた話では10kgほど太ったということだったが、まったくそうは見えなかった。

※最近は10kgの違いがわかるようになった。

※ちなみに私自身も双極性障害不眠症のあれそれで10年前と比べ15kg太っていた。

 

 

 

相変わらずカワイイ顔をしているなあと思ったし、服のセンスも悪くない。

スマートな印象で「あ~やっぱり好みだわ…」と感じる雰囲気であった。

 

 

奴のトレードマークは「眼鏡」なのだが、これのせいで某お祭り芸人を見ると奴を思い出すくらいに印象深い。

 

それすら健在で、なんだか嬉しかったような記憶がある。

 

 

とはいえ、このとき「早く私の家に荷物を置いてスタジアムまで再出発しなきゃだからとにかく急ぐよ」と追い立ててしまったので情緒的なものは秒で終わった。

 

 

私の家に荷物を置き、ユニフォームを着せ、地下鉄に乗り……というこの一連の流れの間、奴は「微笑み」以上の笑いがほぼなかったように思う。

 

 

あったとしても記憶がない。あの日の写真のどれを見返しても、奴の顔はかなり疲れている。背筋も丸まっていて、なんとなく肩を落としている。

 

離婚の爪痕はやはり厄介だなあ…と感じたが、奴からその話題が出ない限り私は触れなかった。

気晴らしに来ているのにわざわざ掘り起こすのもおかしいと感じたのだ。

 

 

こんな感じだったためか、このあとから数か月にわたりずっと

「自分がいても根本的な解決にはなれない」

「話を聞かせてもらえもしない」

「自分の存在は気晴らしでしかない疑惑」

というルートに突入していくのだが、今思えば「ミソノの役割はそこだった」というだけでしかなかったと思う。

 

 

焦ったり凹んだりして損したなと今なら思えるが、あの日はガラス細工のような三十路男を引きずり回すことや現実を忘れさせることにかなり神経を使った気がする。

 

 

現状の生活でなんのダメージも負っておらずキャリアを築き、日々を謳歌しているように見えるであろう私自身の気持ちは、あの日の時点では二の次にした。

 

 

ということでスタジアムに行ったのだが、いわゆるスタグル(屋台で買い食いする食品)だったりスタジアムに続く道を埋め尽くすサポーターだったりスタジアムの大きさだったり…といったものを目の当たりにするたび、ジュンタロウは生気を取り戻していった。

 

 

特に、ゲートを潜ってフィールドを初めて目にする瞬間の動画は未だたまに見返す宝物になっている。

 

オタクならわかっていただけると思うが「初見さんの反応」からしか得られない栄養があるのだ。

 

「スポーツのスタジアムって初めて入る?実況動画残しときなよ、絶対おもろいよ」

 

この一言を言えた自分、ナイスである。

 

 

ジュンタロウはスマホのカメラを動画モードにして、撮影しながらゲートを潜ってフィールドが見える位置に入っていった。

 

 

季節は秋の入り口、真っ青な空と芝生の美しい緑が映えていた。

 

 

場内ミュージックも偶然、非常に壮大なものになっていた。

 

 

そこに残されているジュンタロウの音声はこうだ。

 

 

 

「おおお……おおおお……でかい………はは!!!すごいね!!!」

 

 

 

この声は十年前とまったく変わらない、あのときのままだった。

胸が熱くなった。

 

 

そのまま席につき、サッカーというエンタメそのものはかなり楽しんだように思う。

 

 

試合が始まる前はスタジアム内の散歩をしたりスタグルの食べ歩きをしたり、はたから見ればデートなのかただのサポーター仲間なのか、かなり曖昧な距離感を保ちつつも遊びまくった。

 

 

試合そのものは引き分けだったのだが、ジュンタロウ曰く「カルチャーショックすぎる」とニコニコとしていた。

 

 

私の家に帰る電車の中、「最近寝つきが悪い」と言っていたのは嘘だろと言いたくなるくらい奴は寝コケた。

 

 

よりかかってきたときに汗が気になったが放置した。

 

 

肩の上に奴の頭の重さを感じながら、私は役に立てたのか、奴が抱える辛さを緩和することができたのか、良い想いをしてもらうことはできたのか……ひたすら反芻した。

 

 

家についてからのことは、正直に言うとよく覚えていない。

ナイトゲームだったから夜も遅かったし、私自身も疲れていたのだ。

 

 

ただ、写真を見るとこのときから奴の笑顔が増えているのがわかった。

 

 

私が飼う猫と遊んでくれている姿、私がすすめた漫画を読む姿、読んでいるのを猫に邪魔されて浮かべる笑顔。

 

 

この日、私はまたサッカーが好きになった。

 

 

同じくらい、会ったこともなければ顔も知らないジュンタロウの前妻に若干の怒りが沸いた。

喧嘩の話を聞く際「片方からしか話を聞いてない」と言う理由であまり自分の感情は抱かない癖がついているのだが、なんとなくそれができなくなった。

 

 

この感情に封をするように、その日の夜はジュンタロウにベッドを譲って私はソファで寝た。

 

 

そのころ私は不眠症が続いており、なぜかソファでしか寝られなくなった夏だったのだ。

 

あの頃は私自身も相当ヤバかったなあと他人事のように思う。

 

しかし、今残るあの夏の思い出は「サッカーとジュンタロウ」だ。

結果オーライにしておく。