オタクのハートはもう限界だ

ねこ二匹と暮らすサッカー大好きおたく社会人の片思い※年下彼氏にクラスチェンジした!

時間がかかった奇跡

結局、夢と魔法の王国を中心とするめくるめく春の旅行は「前日入り~翌々日」という意味不明なロングランとなった。


本当は、夢と魔法の国から帰ってきたその日のうちにジュンタロウとは解散する予定だったのがだ延泊→その翌日に帰るはずだったジュンタロウが新幹線を降り過ごて乗換に失敗したため結果としてまた戻ってきた。

 

過ごし方の無計画さが学生時代のノリである。正直に言えばものすごく楽しかった。

 

また、勝手に私のポイントがどんどん上がっていく流れにもなっていたのでまんざらでもなかった。


私は仕事柄、遠出がかなり多い。


スケジュールも過密になりやすいので「段取り上手」だとか「不測の事態に慌てない」とかそういう評価を貰う場合が多く、今回もそれがかなりうまいこと作用した。


さあどんどん私に惚れろ…!とニヤニヤしていたのだが、ジュンタロウに関しては「カッコよく去りたかった…」と落ち込んでいたのがなんだかかわいそうであった。


かわいそうであったが、私からしたら棚ぼたでしかなかった。
そのくらいこの4日間、10年の空白がチャラになるくらい良い想いはさせてもらったように思う。

 


お揃いの服でデート

トラブルが起きても文句を言わず「これもまた思い出だよね」とか言いながら手を繋いで仲良く歩く

家の近所の食堂でご飯

小さなシングルベッドで並んで一緒に寝る

ソファでいちゃつきながら映画を観る

………

 


書けば書くほど「奴が一番かっこよかったであろう20代を独り占めした女がいるのマジ嫉妬するわ」とモヤつくが、この楽しい時間真っ最中は不思議とそんな感情が消えている。

 


そのくらい、ジュンタロウは真剣に私を想ってくれているなという実感がある。

 


こんな想いをする未来が待ち受けているなどと、少なくとも去年の今頃まではまったく予想していなかった。とにかくビックリだ。

 

もしなにかそういう未来があったとしても、ジュンタロウが相手だとは思っていなかった。

 

「人生、何が起こるかわかんないな」というのは、同人誌を作っていたときにたまたま知り合ったジャンル大手と合同誌を作ることになったときに散々口にしたが、まさか恋愛沙汰でもそうなるとはと驚きおののいた。


なぜ私がここまで驚いているかというと、ジュンタロウが必要以上に甘いのと私自身がずっとジュンタロウについて「あれ以上好みの男は出てこないだろうな」と長年思っていたこと、そして私が自分に自信を持っていないことといった複数の事情が複合的に絡み合っているためだ。

 


何度鏡を見ても私はちびデブだし、目は小さいし、なんとなく笑顔が気持ち悪い。自分の低い声も嫌いだ。好きになれる要素がまったくない。

 


だから、思わず聞いてしまった。

しかもよりによって、いわゆるイチャイチャしているときにだ。

 


「何かの間違いじゃないかと思ったし、正直に言うとまだ思ってる、本当に私とこうなってよかったのか」

 


これを口にしたらジュンタロウが一瞬、息をのんだような気配になったのがわかった。

 


しかしすぐに「間違いじゃない、絶対に違う」と穏やかな口調で返事をしてくれたように思う。

 


そのとき、結構な深い質問をしたはずの私だったが「そっか」と生返事でスルーした。


そのくらい、ジュンタロウのスキンシップはやや激しめなのだ。物事を考えている暇がない。何にも集中できない。

 


結局この話題に関しても後々引っ張るのだが、あんまりに言い過ぎると奴に嫌われてしまうかもしれないから控えめにしたいと思う。

 

とにかく、告白そのものが対面でなかったために「どうしよう顔見れない」とか言っていた奴であったが、一線を越えてしまえばあとはゲロ甘溺愛彼氏であった。


要した年月とこの都合が良すぎる流れ、漫画にしたら売れると思う。