オタクのハートはもう限界だ

ねこ二匹と暮らすサッカー大好きおたく社会人の片思い※年下彼氏にクラスチェンジした!

ことのはじまり

前提として、ジュンタロウと私はジュンタロウの結婚により完全な絶交状態になっていた。


ジュンタロウの友人であるヒロキとはダイエット仲間かつオタク仲間として交流があったのだが、ヒロキも思うことがあってかジュンタロウの話題を出さなかった。

 

ジュンタロウは10年もの間、私の中で「もう2度と会うことはない人間」カテゴリの人であった。

コミネリサのMissing youという曲を聴いては「ああ、私にとってこの“もう会えないあなた”はこいつだな」と思い出すような、もはやキャラクターであった。


そんなジュンタロウから連絡が来たのは8月もあと数日で終わる、暑さが厳しい夜だった。

 

私はそのころ、某ジャンルの脇役(けどメインキャラでもある)であるケイくん(仮)に夢中でガチコ勢であった。(ちなみに今もである)
同担拒否のため同CPの友人こそいないがフォロワーが数千人、完全に調子に乗りつつ別のキャラ担の友人アミと毎日楽しくデュフデュフやっていた。

 

ということで、完全に別の男にうつつをぬかしていたときにLINEが鳴ったのだ。


当然のようにアミだと思っていたのだが、チラっと見えた名前に違和感を覚えつつ反射的に目を落としたチャット画面にはこうあった。

 


「〇〇(当時のハンドルネーム)です、おぼえてますか」

 

 

 

 

…………気のせい??

 

 


忘れるわけがない、しかし連絡が来るはずがない。

 

そんな相手からの着信通知を前に最初に思ったのが「気のせい?」、次に思ったのが「幻覚?」である。きれいなフォームで二度見をした。


未だ本人に言ってこそいないが、私が奴を忘れるわけがないのだ。

平静を装い、しかし私はケイぴに夢中であったためほぼ上の空で「覚えてるよ!久しぶり~!」と自然な返事をした……
※今思えば完全に自己防衛反応である


…というあんばいで10年ぶりのジュンタロウとの対話となっていたわけだが、奴が話した奴の近況はこうだ。
・離婚することになった、子供はいない
・写真を見返していたらミソノが出てきたから「どうしてるかな」と思って連絡した
・離婚を友人には話せていない(「タカアキ(ジュンタロウとヒロキの幼馴染)とか元気?よろしく言っておいて」と言ったら拒否されたので理由を聞いたらこうだった)
・もう自分でもよくわからない


奴の話には概要しかなく、まとまりなどはまったくない。
とにかく大ダメージを受けている様子がありありと伝わってきた。

 

そのときに聞きたくて、しかしいまだに聞けていない疑問がある。

 

「なんで私に連絡した??????」

 

ここはいずれ聞いてみたい。
だって、ジュンタロウには心の傷を癒してくれる相手の候補が大勢いるはずなのだ…

 

私が思うに、ジュンタロウの女を見る目は悲惨である。

 

本人がイケているというかカワイイ系?のタイプなのと人懐っこい性格なのとで非常にモテる印象は昔からあった。
直に会うことがなかなかできない距離感であったが、常に女の気配が漂う男であった。

 

しかし女を見る目は絶望的になかった。

メンヘラに惚れられては浮気されるタイプで、誰かと付き合っては別れ、付き合っては別れ…を少なくとも3回ほど見た気がする。

聞けば今回もその様子である。喉元まで「またか」という言葉が出た。

 

 

「だから、私を選んでいればよかったんだよ」

 

 

この言葉も飲み込みつつ、しかし私の脳みそは都合よくできているので「ジュンタロウのことは覚えているが、どんな人間であったか」というのは完全に記憶から抜けていた。血液型や誕生日すら忘れている始末である。

 

離婚は男性の寿命を10年縮めるという。そんな相手に、人間性や人格に関する記憶一切なしで関わるのは正直に言えばすごく怖かった。
「他の相談相手でなく、私だからこそできることは何か」
これは今も常に考えている基本姿勢だが、このときの自分の数々の判断が正解だったかどうか、いまだにわからない。


……というこれが、全てはここから始まった…の顛末である。


結局この日の私はケイぴの絵を描きたかったこともあり「とりあえず話そうか」と通話に切り替えたあと、笑わせ過ぎによって奴の顎を外すことになり、その後の交流の流れの本筋を作ってしまうことにもなったのだった。